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Elie Lin

プロデューサー

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PROFILE

Elie Lin

プロデューサー

台湾出身。日本でアニメーション制作に携わった後、台湾で出版社を経営。david production / Taipei Baseでは、中国語圏のクリエイターとの連携や窓口業務を担っている。

日本のアニメ制作を支えてきた海外との協力、そして新たな出会いへ

中国語圏と日本の制作現場をつなぐ

ご自身の経歴と現在のお仕事について教えてください。
日本のマンガとアニメが好きで、日本語は中学生のころ独学で覚えました。もともと大学では理系学部に進学しましたが、日本語学科へ転科して卒業しました。その後、日本へ渡り、東京の専修学校でアニメーション制作について学びました。

それからは日本のアニメ制作会社で約3年間、制作進行として勤務しました。のちに台湾に戻り、長らく出版の仕事を続けています。現在は出版社を経営するかたわら、デイヴィッドプロダクションの中国語圏における窓口業務などに携わっています。
現在、デイヴィッドプロダクションではどのような役割を担っていますか。
以前からつながりのあったデイヴィッドプロダクションのスタッフに声を掛けてもらい、中国語圏との窓口として関わるようになりました。

現在は、作品資料や脚本の翻訳をはじめ、台湾の制作会社とのコーディネート、中国語圏のクリエイターとのやり取り、海外向けリクルートのサポートなどを担当しています。

日本の制作現場と中国語圏のクリエイターは、お互いに言語や文化の違いに対する不安があります。その間に立ち、スムーズにコミュニケーションを取りながら作品づくりを進められる環境をつくる、双方をつなぐ「橋渡し役」が、自分の役割だと考えています。
日本のアニメ制作の特徴はどこにあると思いますか。また海外クリエイターとの関係は、どのように変化していると思いますか。
日本のアニメ制作では、監督、演出、制作、作画、仕上げ、美術、撮影、音響など、多くのスタッフがそれぞれの役割を担っています。一人ひとりが個性を発揮しながらも、一つのチームとしてまとまり、「一つの作品」が生まれます。日本で働いていると当たり前に感じるかもしれませんが、海外から見ると、それはとても不思議で、同時に大きな魅力でもあります。

そんな日本のアニメも、昔から日本国内だけで完結してきたわけではありません。特にテレビアニメの作品が増える過程で、動画や仕上げなどの工程を海外スタジオに依頼する体制が自然に広がっていきました。

ただ、かつての国際分業には、人件費の安い地域へ仕事を委託するという側面が強くありました。仕事は韓国や台湾から中国へ、さらに別の地域へと移っていき、その過程で海外スタジオが「代わりのきく外注先」と見られてしまうこともあったと思います。

しかし近年は、SNSなどを通じて海外のアニメーターが直接見いだされ、その人ならではの画力や表現力を評価されて、作画やデザインの仕事が依頼されることが増えています。単に「外注先に仕事を依頼する」のではなく、「この人と一緒に作品をつくりたい」という関係に近づいていると思います。

これは、海外のアニメーターにとっても、日本のスタジオにとっても大きな変化です。国や言語の違いによる難しさはありますが、それ以上に、新しい才能と出会える可能性が広がっています。
台湾や中国語圏のクリエイターには、どのような強みがあると思いますか。
台湾や中国語圏のクリエイターには、日本のマンガ、アニメ、ゲームに触れて育ってきた人が比較的多いです。

以前は日本で生まれた流行が海外に届くまでにタイムラグがありましたが、今ではインターネットを通じて、日本で話題になった作品やキャラクター、ファンの反応がほぼ同じタイミングで伝わります。そのため、作品の文脈やキャラクターの魅力、ファンがどこに反応しているのかを理解し、共有しやすい環境があります。

技術は努力によって身につけていくことができますが、日本の作品を一緒に楽しみ、言葉では表しにくいニュアンスを自然に理解できることは、とても貴重だと思います。それが、日本のアニメ制作に参加した時の大きな強みになると思います。

また、中国語には漢字や熟語など、日本語と共通する部分も多くあります。日本語がわからなくても、文化的な近さが作品理解を助ける場面もありますね。

一緒につくるために必要なのは、技術だけではなく信頼関係

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海外クリエイターと仕事をするうえで、意識していることは何ですか。
一番大切にしていることは、信頼関係です。

技術はもちろん重要ですが、長く一緒に仕事をするためには、それだけでは足りません。困った時に相談すること、遅れそうな時は事前に連絡すること、分からないことは確認すること。日本で制作進行をしていた頃に学んだ「報連相」は、積み重ねると信頼につながります。報告、連絡、相談。とても基本的なことですが、国や言語が違う相手と仕事をする時には、特に重要になります。

また、自分は単なるメッセンジャーにはならないよう心掛けています。修正依頼があった時も、ただそっくりそのまま「ここを直してください」と伝えるだけではなく、そのクリエイターが何を表現したかったのか、なぜその修正が必要なのか、その絵の魅力がどこにあるのかを把握したうえで、「こうするともっと良くなるのでは」と、相談する形で伝えるようにしています。

状況の共有を怠らず、作品全体の方向性を大切にしながら、常にクリエイターの良さを活かせる着地点を考える。クリエイターが「この人は自分の作品を理解しようとしてくれている」と信頼を寄せてくれると、難しい修正やスケジュールについても相談しやすくなると思います。
DPの海外向けリクルートに携わる中で、感じている課題や今後取り組みたいことを教えてください。
一番の課題だと感じているのは、「ポートフォリオの見せ方」です。

才能があっても、自分の作品をどう見せればよいのか、どのような資料が評価につながるのかが分からないクリエイターは少なくありません。完成した映像よりも、レイアウトや原画、タイムシートなど、日本の制作現場で実際に必要になる情報があると、判断しやすくなります。

また、現場で求められる技術や仕事の進め方を知る機会もあればと思います。今後は、海外クリエイターに向けて、ポートフォリオの作り方や制作工程、タイムシートの基礎、現場で必要なコミュニケーションなどを伝える講習会や交流会のような場をつくっていけたらと考えています。
これから日本のアニメ制作を目指すクリエイターに、身につけてほしいことは何ですか。
絵を描く力はもちろん必要です。ですが、それと同じくらい、誰かと一緒に作品をつくり上げる経験を重ねてほしいと考えています。

今は個人でも映像をつくれる時代です。自分一人で絵を描き、色を付け、編集し、作品を一本完成させることもできます。それは素晴らしいことです。

でも日本のアニメ制作は、一人ですべてを完成させる仕事ではありません。チームで作品をつくる仕事です。ほかの人と関わりながら作品を作ることになります。自分のパートだけではなく、その前後の工程、演出意図、作画監督の修正、全体の中での役割を理解することが大切です。

次の工程の人が作業しやすいように意識すること、分からないことは相談すること、遅れそうな時は早めに伝えること。そうした基本的なコミュニケーションは信頼につながり、長く活動していくための土台になると思います。

日本語や英語などの語学も、大きな助けになります。ただそれ以上に大切なのは、学び続ける姿勢です。常に「どうすればもっと良くなるのか」を考え続けること。その好奇心が、クリエイターとして成長し続ける力になると思います。
日本のアニメ制作への参加を目指す海外クリエイターへ、伝えたいことはありますか。
繰り返しになりますが、日本のアニメ制作は、一人では完成しません。多くの人が関わり、それぞれの力を持ち寄ることで、一つの作品が生まれます。

だからこそ、まずは人とのつながりを持ってほしいと思います。

恥ずかしがらずにどんどん作品を発信し、ポートフォリオを通して、自分がどんな表現をしたいのか、どんなことができるのかを伝えることが、新しい出会いにつながると思います。

住んでいる場所が遠くても、リモートワークが可能で、言語が違っても翻訳ツールが手軽に使える今は、日本のアニメ制作に参加するためのハードルは、以前より低くなりました。デイヴィッドプロダクションの公式サイトでも多言語対応の応募フォームを用意しているように、チャンスはずっと身近になっています。

自分から手を伸ばせばきっと、何かに届くでしょう。

もちろん、そこから先は運も実力も必要になります。「運も実力のうち」ですが、挑戦したいという気持ちがあれば、ぜひ一歩踏み出してみてください。
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